昭和五十七年八月十七日 朝の御理解


御理解第七十五節「人を殺すというが、心で殺すのが重い罪じゃ。それが神の機感にかなわぬ。目に見えて殺すのは、お上があってそれぞれのお仕置きにあうが、心で殺すのは神が見ておるぞ。」


 最近、薫ようなおかげという事が、しきりに言われてめす。昨日も御大祭の後の私の話の一番に申し上げたのも、丁度、斉員の先生方の控えに今の教主金光様のお書きになった、俳句もお作りになるんですね。この俳句の「一筋の道起伏あり風薫る」よいう句がございます。一筋の例えば道でも、起伏があると、ね。上り坂もあれば下り坂もぱる。又は曲がりくねってる事もあるかも知れません。それこそやはり、ここには風薫るという、最後に言葉を使っておられますが、さわやかな心、ね。まあ薫ような心。そこには例えば今日、人の心を傷つけたり又は、極端に言うと心で人を殺すというような事は、まずはなかろうと思う、ね。ただ人を憎んだり妬んだり、ま、そういう事はいけないというだけではなくて、自分の心が最近言われる。言わば薫ような心。いよいよ自然を重んずるその心。そういう修行の中から自ずと心の中に沸いて来るのが、豊かに有り難い。いわゆる薫る。しかも薫るような心。そこには人を助けずにはおかん、ね。と言うような人に喜ばせずにはおかん。そういうようなものが、たくまずして自ずと、その雰囲気の中にでも出てくるとこう思うんですね。
 私は今日の御理解に、どういうふうに頂いたらいいかわからんでおりますけれども、御祈念中に月の砂漠ですね。あの童謡、歌があります。月の砂漠をラクダに乗ったお姫様と王子様の旅の模様が、先の蔵には金の蔵、後の蔵には銀、ね。二つ並んで行きましたというような、何かその何とも言えん。その感じの歌ですが、私共がやはり一生をかけて歩かせて頂く、一筋の道というものは、ね。やはりある意味では砂漠を旅するようなものかも知れません、ね。言うならば無味乾燥なと言うても良いかも知れません、ね。それを、ま、出来れば有り難く、ね。喜びをもって過ごさして頂こうという手だてを教えるのが宗教であり信心だとこう思います。中には、もう、それこそ太く短くてと言ったような、ね。行き方をする人すらがございますけれども、私はそれ、その歌を頂きながら、あれがもし王子様だけ、あれがもしお姫様だけであったら、こんなに言うならば、味もそっけもない旅はないと思うんですけども、ね。神様がそこに、言うならば誰の句でしたかね。二人で道を、しかも愛し合った同志が歩くという事は、その道は遠いともきついとも疲れを感じないというように、な。確かな句があったと思いますが、ね。私共が言わば、ま、様々な行き方の人がございますれれども。信心させて頂く者はいつも神様と二人だと。いわゆる同行二人である。例え、人が悪く言うたりいろんな事があってもです、ね。神様と二人での世界。いわゆる合楽で言われる神様をバックに頂くというのぢゃなくて、神様と交流し合うた行き方、ね。それこそ、歌の文句ではないですけれども、ね。水差す人に見せてやりたい合うた二人の二人の中をと言ったような、がありましたよ、ね。どんなに水差す人があっても悪口を言う人があっても言うならば、私と神様との交流の世界、ね。そこには、ね。その悪口に悪口を言うて返そうという心すら起こらない。神様と私との言うならば、交流の世界を求める、ね。私共がいわゆる、ま、言うなら無味乾燥な砂漠の旅をするような人生であっても、そこにそれぞれの行き方を、ね。私共は信心に求めて、それこそお姫様と王子様が、それこそ月の砂漠を旅される。それども何とも言えん喜びと楽しさを感じるように私共の在り方の中にも、ね。本当に神様といつも一緒である。神様が聞いておって下さるのであるという世界には、ね。人を傷つけるどころか、それこそ爽やかな薫ような心で過ごせるというふうに思うんです。だから信心も、ね。そこまで悪口を言われたから言って返すといったような程度の信心ではです。いわゆるおかげ信心では、本当につまらん話だと思います、ね。
 一生を本当に有り難い神様との、ね。いわゆる神様が覧ておいで、聞いておって下さるんだというような心の状態。薫るような心が段々育ってくるでしょう。そこには、ま、今日の御理解で言うと、心で殺すどころか心で人を生かす事の出来れる道すら開けて来るんぢゃないかと思います、ね。人のもう、口を開けば人の心を、こ、つくように刺すようにというような人もあります。これでは神様が見ておいでになる、聞いておいでなのですから、そういう人は心に、言うならば、豊かさのおかげを頂きませんだけに、また豊かなおかげにも預かる事は出来ません、ね。一つ薫るような心の状態をいよいよ育てていきたい。例えばそれが、月の砂漠を旅するような一生でありましても、そこには喜びと楽しさといったようなものがあるような手だてを一ついよいよ頂いて行きたいと思うですね。
                    どうぞ。